乳酸菌
【連載:乳酸菌の話(6)】酵素について
人間が生存して生命活動をするうえで、消化と代謝に関わる必要なすべての働きを受け持っているのが酵素。わかりやすく言うと、筋肉を動かしたり脳を働かせたりするためのエネルギー源、身体を構成するタンパク質をつくること、即ち生きていくために必要不可欠なもの、それが酵素なのです。その為、酵素が欠ければ健康ではない状態となり、やがては病気を引き起こすことにもなります。
その大切で重要な酵素、実は、野菜、果物、刺身などの生の食品、また納豆、味噌、醤油、漬物、ヨーグルト、チーズ、キムチなどの発酵食品に含まれているのです。現代の日本人の食生活は、発酵食品を食べることが少なくなり添加物の多い加工食品にまみれており、酵素が圧倒的に足りない困った状況なのです。
それでは、酵素について述べます。
1)酵素
「酵素」とは、
酵素は人間や動物、植物、虫、ミトコンドリアなどの微生物など全ての生命に存在する細胞に含まれる「特殊なたんぱく質」のことをいいます。体の中では細胞や器官・神経がエネルギーをつくったり、ホルモンを分泌したり、人間の生命活動にともなう指令の伝達、栄養の吸収、分解、燃焼、排泄など、いろいろな活動をしています。そのために体内では様々な生化学的変化が起こっていますが、これをスムーズに進行させる触媒の働きをするタンパク質が酵素と呼ばれる物質です。つまり、酵素は、全身の化学変化の仲介役といえます。
酵素は、「目で物を見る」「鼻で匂いを嗅ぐ」「舌で味を感じる」という神経の伝達や、「心臓が動く」、「胃の中の酸を作る」、「血液の炭酸ガスを運搬する」、「筋肉が収縮したり弛緩したりする」、という大切な機能があります。これらはすべて酵素のお陰です。その他にも、「体温調節」、「血圧の調整」、「傷の痛みを知らせる」、等々も・・・酵素が無ければ働きません。
さらには、腸内環境改善による免疫力アップをする働きもあります。
2)酵素の種類
酵素には「体内酵素(潜在酵素)」と「食物酵素」の2つの種類があります。
〇「体内酵素(潜在酵素)」
体内に入ってきた食べ物全般を消化・吸収・排出など生命活動を行う体内で作らえる酵素であり、体内酵素はさらに「消化酵素」「代謝酵素」にわけられます。
- 「消化酵素」 食べたものを消化して栄養素にして吸収する役割。
- 「代謝酵素」 吸収した栄養分が効果的に働くために必要。生命活動をサポートする役割。
☞体内酵素(消化酵素+代謝酵素)のうち消化酵素が多く使われ、代謝酵素が少なくなると、食べた物が脂肪に変わりやすくなり新陳代謝が悪くなり、太る原因に!
〇「食物酵素」
野菜や果物や発酵食品などの食物に含まれている酵素であり、「消化酵素」のサポートをする役割があります。
☞食物酵素を多くとることで、代謝酵素に利用され脂肪が燃えやすく老廃物も排出されやすくなります。
なお、体内酵素(消化酵素・代謝酵素)は産まれたばかりの赤ん坊の時から存在、ある程度は体内で生成されますが総合的な量は赤ちゃんの時から徐々に低下していき年を取るに従ってどんどん減っていきます。
酵素は、体の中で起こるほぼすべての反応に関与しているので、そのため、年齢を重ねるごとに若い頃に比べて代謝が悪くなり、疲れやすくなるのです。
つまり酵素が減らなければこれらの症状は抑えることができるのです。
そこで大切なことは、体内の不足している酵素を食物に含まれている酵素(食物酵素)を摂取することで補うのです。食物酵素は消化酵素のサポートをするので、その分を分量が決まっている潜在酵素を代謝酵素をつくることに回すことができ、調子をととのえることができます。そうすると、代謝が良くなり、若く太りにくく、疲れづらく、肩こりや頭痛に無縁でお通じのいい身体になるのです。なので今ある多くのダイエット食品や健康食品では酵素が注目されているのです。
3)酵素は微生物から作られる
・酵素と微生物の関係
微生物は酵素を作り出しています。微生物は「酵素の生みの親」です。
私たちが今日飲食している発酵食品は、かつて保存等を考えながら偶然できた産物で、その国や土地の気候風土、産物、嗜好性が大きく反映しています。
その偶然とは、自然界にいる微生物がある食材に混入、その土地の気候・気温・湿度等が発酵を手助けし、特有の風味豊かな新たな食品が生まれた事です。
発酵食品は酵素という言葉のなかったはるか昔から、私たちの先祖は、この酵素を巧みに生活の中にとりいれて自然と食物酵素を摂っていたのです。
動物・植物・微生物の基本的な共通点=「細胞」を持つこと
細胞は生命の最小単位で、細胞膜の中には3,000種類以上のタンパク質を持っています。
・「ミトコンドリア」ってどんな仕事をするの?
細胞は酵素を使って糖分を燃やし、エネルギーを得ます。細胞内で行われるあらゆる化学反応・体の活動のエネルギー源はこのミトコンドリアが作り出します。
腎臓や肝臓、筋肉といった大量のエネルギー生産を必要とする細胞には、一つの細胞につき2,000個ものミトコンドリアがあります。
酵素も細胞内にあって、その本体はタンパク質で、エネルギー代謝を行う役割を果たしています。この酵素を作っているのも微生物です。
・微生物の役割
①自然界の循環・浄化を支える働き
約46億年前に地球が誕生、その約40億年前には海の中に最初の生命体である微生物が、約14億年前には多細胞生物が誕生したといわれています。やがて、さまざまな生き物へと進化を遂げる豊かな生態系が始まりました。土は、微生物がはたらく結果、やわらかくなります。そして、酸素を含んだ水を蓄え、通気孔の役割も果たし植物の根の成長を助けます。
自然界では、その植物を草食動物が食べ、次にその草食動物を肉食動物が食べ、動物は腸内で微生物が分解し、排泄物となり土壌に落ちます。それを土壌動物や微生物が分解する、という循環が起きています。
〔植物→草食動物→肉食動物→糞や死骸→土壌動物や微生物による分解→植物… 〕
私たち人間の体も、このような微生物とも共存する自然界の循環システムの中にあることを認識する必要があります。
この循環は、自然の摂理であり、現代社会ではこの自然の摂理がどんどん壊されています。
②腸内微生物の働き
・腸内微生物は3000種以上の酵素を作り出します。
・糖を植物から受け取り、分解しながら、空気中の窒素からタンパク質を自らの体を通して形成しています。
・生物の生命活動に必要な反応の触媒作用として機能しています。
このためには「酵素」が必要です。酵素が活性化する最適温度は36.5度なのです。
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