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食材の話

【連載:お米の話(2)】土の力のこと

土の力

土について

作物の生育には、種も土も、そして人の技術と気持ちがとても重要です。料理で言うと、食材・厨房機器の良し悪し、「腕」で出来栄えがきまるのと同じだと思います。

作物の味に関しては、土がとても重要です。
昔から「身土不二」、つまり身体と土は切り離せない、一体であるという考えがあります。四キロ四方以内の作物を食べれば健康になるということです。現代社会には適応しないものですが、かみしめたい言葉です。

そもそも土とは?

土は、岩石が風化してできた砂や粘土と、長い時間をかけて動植物の「亡骸」が微生物により分解されたものとの混合物です。

微生物の重要性

最近の作物は、厚生労働省が10年おきぐらいに公表している日本標準栄養成分表を見るまでもなく、昔の食材に比べて栄養分が低下しています。

何故なのでしょうか?

土が悪くなっているからです。土の中にはたくさんの微生物が生息しています。その微生物の餌が、たい肥などの有機物。有機物の中には、二酸化炭素由来の炭素があり、それを食べてエネルギーにしているのです。

人間も炭素の入った炭水化物植物を食べて消化し、熱源やエネルギーのもとにしていますが、微生物も同じなのです。根は、菌根菌という微生物に餌を与えて、菌根菌は根に養分を供給するという、両者の共生関係が培われています。

微生物の豊富な土は、化成肥料中心の土よりも1~2℃地温が高くなり、冷害に強くなります。実際に平成5年の東北地方を中心とした大冷害の年にも、有機物を投入した微生物豊富な田んぼは、被害が少なかったようです。

化学肥料・農薬・除草剤について

田んぼにたい肥などの有機物を入れず、化学肥料のみで栽培するようになって久しいです。これでは微生物は生息できません。さらに追い打ちをかけているのが化学農薬です。食べ物の無い中で青色吐息の微生物は、殺菌・殺虫剤のせいでさらに少なくなります。最近では、除草剤も微生物に悪いということがわかってきました。

化学肥料は作物の根からすぐに吸収されるために、葉色が濃くなり病気や害虫の被害を受けやすくなります。だから農薬がさらに必要になるという悪循環に陥るのです。おまけに、根を張らなくても養分が吸えるので、作物が「なまくら」な体質になってしまうのです。素材の香りも旨味も少ないことは、容易にご理解いただけるものと思います。

有機肥料で栽培した作物と比べて、日持ちも良くないのです。
たい肥作りなどの有機物の投入は、作る手間、撒く手間、肥培管理の難しさなどからどうしても農産物は高価になります。でも、その価値は十分にあると考えています。

根を考える

一般的に農作物は地上部しか見ないことが多いですが、根がしっかりと張っていなければ、立派な農作物は育ちません。人間にも共通すると思います。良い結果というものは、気力や積み重ねた努力の結果ですが、それは他人の目には留まりません。

ところで、根は地中の中に養分が無い場合は、どんどんと根を張ります。土があるはずのない岩山に松が育っています。松は根から根酸という物質を出して岩を溶かしミネラルを吸うのです。

家庭の肥料のなさそうな小さな庭の柿の木が、たわわに実をつけていることがあるのは、前述した根と菌根菌の共生を表す事例です。

最後に、龍の瞳は

龍の瞳は、根を張ることに注目して栽培をしています。微生物資材によりトロトロ層を作り、ミネラル分を吸収する横根を出す資材も投入して、美味しさに拘っています。
今井社長は、龍の瞳を食べられたご高齢の方から、「昔のお米の味がする」と言われることが多々あり、本当に嬉しいとのことです。

「このBlogは、(株)龍の瞳代表取締役今井隆社長様の著述を引用しており、(株)龍の瞳と発行元より許可を得て掲載しています」