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乳酸菌

【連載:乳酸菌の話(7)】生菌と死菌

乳酸菌

腸内環境を良くする乳酸菌。

「生きて腸まで届く」というキャッチコピーを聞くことが良くあると思います。
では、「生きて」ということは「死んで」もあるのだろうと容易に想像できますが、この意味を考えたいと思います。

生菌と死菌

乳酸菌を含む食事や飲料などで口から摂取して身体の中に入っていく乳酸菌は、「生菌」と「死菌」に分かれます。
実は、人間の体には胃酸や胆汁酸があり、乳酸菌が生きて腸まで届くということは困難で大半が死滅するのです。

腸内環境に良い乳酸菌がたとえ腸まで生きて届いたとしても、腸内フローラには定住しないことがわかっています。

では、どんな乳酸菌がいいのでしょうか?
「生菌」も「死菌」も有用な働きがあるので、それぞれの特徴をみてみましょう。

「生菌」

生菌とは、名前の通り生きた菌。プロバイオティクスの一つ。

〔生菌の働き〕

・生菌はブドウ糖など糖分を分解して乳酸を作り腸内を酸性化、酸性が嫌いな悪玉菌が棲息しにくくして腸内環境を整えます。

・腸内環境の改善により乳酸菌の数が増加、常在善玉菌と共に酸を作ることで腸を刺激して蠕動運動を促します。

・生きて腸まで届かなかった菌は死菌として働きます。

〔生菌の期待効果〕

生菌は、善玉菌優位な腸内環境を作ることにより、便秘やアレルギーやアトピーなどに有用な働きをしてくれます。
更に腸内フローラに元々住んでいる乳酸菌との相性が良い場合は、善玉菌の勢力拡大パワーを更に大きくする可能性も期待されています。また、最新の研究では腸壁によりしっかり定着するタイプの乳酸菌も発見されており、今後の研究が期待されています。

〔おまけ〕

実は、生菌を「生きて腸まで届かせる」ことは容易ではありません。
乳酸菌は、食べてから腸に届くまでに体内で胃酸や胆汁酸という強い酸、あるいは保存方法や保存期間によっても死滅していきます。
しかし、乳酸菌は生きたまま腸内に到達すると、中性で栄養分が豊富かつ適温であることから乳酸菌は増殖、そして多量の有機酸を出し、有害菌の増殖や腸内の腐敗を抑えて腸内菌叢が正常化するというものです。
また、効果については、自身の腸内フローラの善玉菌と相性が良いタイプを見つけると効果が最大化します。

「死菌」

死菌とは、乳酸菌を加熱殺菌したものや胃酸や胆汁などによって死滅する菌。

〔死菌の働き〕

  • 食物繊維と同じく腸内の生菌や定住する善玉菌のエサとなり、善玉菌を増殖させることができる。
  • 生きた乳酸菌によって活性化した善玉菌が、悪玉菌が好むエサを吸着して便として体外へ排出します。それにより、悪玉菌を減少させることとなります。
  • 腸壁を刺激を与え免疫細胞の分泌を促進、免疫力アップします。

〔死菌の期待効果〕

乳酸菌は死菌となっても、善玉菌のエサとなり、また悪玉菌が好むエサを吸着して便として体外へ排出したり、腸壁を刺激することにより、腸内環境の改善や免疫機能を高める働きがあります。

まとめ

生菌と死菌の期待効果については、「生きて腸まで届く」生菌が良い、とか「生きて腸まで届くことは困難」であり生菌には意味がない等様々な学者の意見が見受けられます。
個人的な意見としては、生菌が生きて腸まで届けばなお良く、死菌となれば死菌としての効果があるのではないでしょうか。結局のところ、様々な乳酸菌を試してみて(1種類少なくとも1ヶ月以上)、自身の身体に合う乳酸菌を探すことが必要なのでしょう。

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