知る
蜂蜜の歴史、そして養蜂の国スロベニア!
前回スロべニアにとっていかに蜂蜜が大切かについてお話しましたが、今回はもう少し詳しく、その歴史を振り返ってみたいと思います。
古代人にとって蜂蜜は神聖なもの!
蜂蜜がいつから存在していたのか正確なことはわかっていませんが、蜂蜜は想像以上に古くから存在しています。
記録されている最古の蜂蜜は何と紀元前7000年!
スペインにある洞窟の壁画に蜂蜜採取の様子が描かれています。
では、ミツバチ自体はいつからいるのでしょう?
化石から1億5千万年前にはミツバチが存在してることがわかっています。
スペインの壁画(籠の中にはちみつを集めている様子)
そうです!蜂蜜は、人間の歴史にとって欠かせないものとして存在してきました。
最古のミツバチの巣箱は紀元前2400年のエジプト、カイロ近郊で発見されています。
ミツバチはエジプトの古文書ヒエログリフにも度々登場し、エジプト王も王の象徴としてミツバチを特別視していました。
古代エジプトでは蜂蜜は神からの贈り物として考えられ、とても貴重なものとして扱われました。甘味料として使用されるのは勿論のこと、なんとミイラを作る際の防腐剤として使用されていました。また、神様への捧げものとして蜂蜜ケーキが作られていました。
また、古代ギリシアにおいても蜂蜜ケーキが神様への捧げものとして作られていました。当時のレシピ本を調べると、蜂蜜を使ったレシピがたくさん載っています。
蜂蜜を使ったチーズケーキ!のレシピもありました。美味しそうですね!
古代ギリシアで特徴的なことは、蜂蜜は薬としても使用されていたことが挙げられます。感染症予防として傷口に用いられていました。
蜂蜜はローマ帝国時代にも料理に使用され、養蜂は栄えていきました。
また、キリスト教の始まりによって、蜂蜜とキャンドルに使用された蜜ろうは更に需要が高まり砂糖が使用され始める14世紀-16世紀のルネッサンス期まで、蜂蜜はとても貴重なものとして扱われてきました。
スロベニアにおいて養蜂がとても大切なのはなぜ?
歴史文書から6世紀にはスロベニアにおける養蜂が行われていたことがわかっています。
つまり、スロベニアにおける養蜂は1,000年以上の歴史があることになります。
また、現代の養蜂技術の始まりは18世紀中ごろのスロベニアに始まります。
その第一人者と考えられているのがアントン・ヤンシャです。
マリアテレジアによって、世界で初めて養蜂家養成学校がオーストリアのウィーンに設立された時アントン・ヤンシャは講師として王室から任命されました。王室から直接講師が任命されたのは、これが初めてのこととなります。
アントン・ヤンシャは養蜂技術について優れた理論と熟練した技術を持っていることで有名でした。39歳という短い生涯を閉じるまでに養蜂に関して2冊の本を出版し、これに記載されている技術によってオーストリア帝国は養蜂技術を確立しました。
この2冊の本は、今でも養蜂家の間で読まれているほど、重要なものとなっています。
この人なくして、蜂蜜なしですね!
(アントン・ヤンシャ)
今のスロベニアにおける養蜂とは?
上でお話しした通り、スロベニアは養蜂、蜂蜜作りにおいて長い歴史があります。
今でもスロベニアの養蜂家たちは蜂蜜作りにおいて、品質と知識で世界のトップクラスに君臨しています。
2017年、スロベニアはEU連合で唯一ミツバチを保護した国となりました。保護対象は、スロベニア固有Carniolan honey beeというミツバチになります。
また、国際養蜂家連盟のトップ、フィリップ マッケイブは、スロベニアはヨーロッパにおいて養蜂の中心であり魂であるとも言っています。
それだけ、養蜂においてスロベニアは無くてはならない国ということですね。
そのスロベニアでは養蜂家の育成にとても力を入れており、人口約200万でありながら、1万人以上の養蜂家が存在し、毎年4,000人程度の養蜂家が生まれています。
そして、子供たちは幼稚園や学校でミツバチや養蜂の重要性を学ぶ機会を与えられています。
例えば、170以上の学校で養蜂が課外活動として組み込まれていたり、ヨーロッパ ハニーブレックファーストという活動として、11月の第3週の金曜日に蜂蜜、スロベニア産バター、リンゴ、黒いパン、牛乳という伝統的な朝食を提供し、スロベニアの食文化の重要性を見直すきっかけを作っています。
この活動は、評価を受け他のヨーロッパ諸国でも始まっています。
スロベニアの蜂蜜はどのくらいあるか知ってますか?
スロベニアにとっていかに養蜂、蜂蜜が大切かということについて、お話ししてきましたが、スロベニアではどのくらい生産されていると思いますか?
スロベニアでは年間2000から2500トンの蜂蜜が作られています。
多いと思いますか?
これ、実は世界の生産量で見ると、たった0.1%しかありません。世界では毎年1.9百万トンの蜂蜜がつくられ、中国は24%も占めています。
スロベニア養蜂家はミツバチに対して敬意を払い、蜂蜜作りを誇りに思っています。蜂蜜は、スロベニアの伝統を受け継いで一つ一つ丁寧に作られているため、決してたくさんの量を作ることはできません。だから0.1%なのです!
これって、スロベニアの蜂蜜はとても貴重で歴史上とても重要なものってことですよね。
(スロベニアのミツバチの巣箱)
普段何気なく食べている蜂蜜は、あまり馴染みのない小さな国のおかげなんて意外ですが、スロベニアをより身近に感じるいいきっかけになりました。
他のブログ記事
メープルシロップとは、はちみつとの違いと注意点 植物性プロテインを考える プラントベースホールフードが話題な理由 フランスレストラン文化 サービスの世界 フランスレストラン文化の伝統と今 スロベニアのミツバチとのお付き合い! ミツバチの素晴らしさ、そしてスロベニア共和国 ぬか床とコンポスト、循環生活をはじめました! 【知る】地球最古の野菜、タイガーナッツ その2 【知る】地球最古の野菜、タイガーナッツ その1 暮らしの中にある月 【知る】生ごみを捨てない、コンポストで循環生活! 次亜塩素酸水に関するNITE最終報告について プラントベース ホールフード 食生活スタートガイド 【知る】「希少な蜂蜜」マヌカハニーで免疫強化! 【連載:お米の話(10)】微生物の力 【知る】循環備蓄(ローリングストック)生活への取組みについて 【知る】新型コロナウイルス対策には免疫機能強化が大切! rooms40〔クリエイティブの祭典〕出展の記録(2020年2月20日ー22日) 【発酵】滋賀県高島市発酵リアルテーマパークの視察 中川貴雄 個展 All Times 出展の記録(2019年12月22日ー25日) カラダ改善プロジェクト2019〔アレルギー対策展〕出展の記録(2019年11月20日ー22日) 【連載:お米の話(9)】お酒との関係について 【生徒さまの声】由比りか先生のこだわり材料で作るぬか床講座 【連載:お米の話(8)】稲作の未来 発酵縁日の記録(2019年10月12日~14日) 【連載:お米の話(7)】農薬を使わない米作り 【知る】ぬか(糠)について学ぶ 【連載:お米の話(6)】お米の構造のこと 【連載:お米の話(5)】美味しいお米の栽培のこと 【奥会津金山天然炭酸の水】特別な美味しさの秘密 【連載:お米の話(4)】種のこと 【スペルト小麦】お勧めする理由 【APGF主催】2018年プロスペール・モンタニエ国際料理コンクール 料理講習会 【連載:お米の話(3)】お米の炊き方のこと 【連載:お米の話(2)】土の力のこと 【ピランソルト】世界中で珍重される「幻の塩の花」 【知る】お米について基礎から学ぶ 【食品パウダー】 無添加・無着色・無香料・ノンシュガー 【ロゴ入りマカロン】フランス国家最優秀職人MOFニコラ・ブッサン監修 【知る】お塩について基礎から学ぶ(2) 【知る】お塩について基礎から学ぶ(1) 【連載:お米の話(1)】お米の種類のこと 【知る】写真の7種の基本構図について 【連載:乳酸菌の話(7)】生菌と死菌 【連載:乳酸菌の話(6)】酵素について 【連載:乳酸菌の話(5)】発酵について 【連載:乳酸菌の話(4)】腸内細菌について 【連載:乳酸菌の話(3)】人間の腸の中はどうなってるの? 【連載:乳酸菌の話(2)】食物アレルギーについて 【連載:乳酸菌の話(1)】食物アレルギーについて 【薬膳】通信講座「薬膳コンサルタント認定講座」よくあるご質問 【薬膳】「薬膳コンサルタント認定講座」の特徴