食材の話
【連載:お米の話(4)】種のこと
主要農産物種子法の廃止
主要農産物種子法(以下、種子法)が、2018年4月に廃止されました。
その種子法は昭和27年に発令、民間の育種能力が低かったために国や県に育種や種苗管理を任せることにすることでした。
その結果、コシヒカリ、あきたこまちなどの原種管理が行われ種もみが安価で供給する利点がありました。
これまで同法は、66年間の長きに渡って特に稲や小麦、大豆など5品目の種苗管理・普及に役立ってきました。
しかしながら、今般廃止に至った理由は、国や県が種子の普及を支援することで、民間育種や企業の市場拡大を阻害していることなどです。
種子法廃止後は
種子法廃止後は、国や県が原種の維持や種苗管理をしないとなると、当然に種の供給が民間に任されることになります。しかしながら、民間の種はとても価格が高いのです。
種子法下でのコシヒカリの種もみは約4kgで2000円ほどですが、企業として種もみを供給しているN社では同4500円ほどになります。これだけで玄米コストが5円/1kgほど上がります。消費者も含めて、大きな問題となってくるでしょう。
稲の種の保管について
稲の種は、籾の状態で保管されていますが、常温であれば数年で発芽能力を失います。冷蔵保管されていれば、最高10年ぐらいは大丈夫です。
自家採取を続けると、数年で本来の稲の性質から逸脱してきます。原種を例えば10年ぐらい保管して1年間育てて、それをまた10年保管するという方法で原種を守ることができます。あるいは、毎年育てて、その中で原種に近いものを選抜していくという方法もあります。
生物の多様性
植物がおしべとめしべ、動物でいうと雄と雌になりますが、二つの「性」に分化したのはカンブリア紀(ウィキペディアでは、5億4200万~4億8830万年前・以下同資料引用)だといわれています。
38億年前に真正生物(バクテリア)などの生物が誕生してから、「性」が発生するまで、33億年も経過しているのです。「性」の分化により、いかなる環境にも耐えられる生物の多様性が生まれてきたのです。
強いものが生き残ったのではなく、変化に対応できたものだけが生き残ってきたといえます。ひょっとしたら、人間社会にもつながるところがあるのではないでしょうか。
稲は雌雄同株で、籾といわれる花におしべとめしべがあり、自家受粉します。稲にも花が咲くのです。その結果、できた実が玄米なのです。
ギンナンが取れるイチョウの木は、雄株と雌株が分かれています。また、カボチャなどは同じ株に雄花と雌花の両方を持っている種類です。これだけ見ても、いかに生物が多様性に富んでいるかがわかります。
最後に、龍の瞳は
「稲の種の保管」について「龍の瞳」の場合は、穂が揃いにくいという性質がある為、できるだけ穂が揃う稲株を選定しなければなりません。また、玄米も形が歪だったり、シラタと呼ばれる白濁も起きたりするので、その点にも注意して選定しなければなりません。
中には、本来の稲の姿勢から逸脱した株が出るので、それを除外するという作業が、種の純血を守っていくということにつながります。
株式会社龍の瞳では、2005年の一番古い種もみを基に、原種の管理をしています。今井社長は、この稀有で秀逸な日本の宝物である「龍の瞳」(品種名:いのちの壱)の種もみを守っているという自負をもたなくてはならないと思っています。
「このBlogは、(株)龍の瞳代表取締役今井隆社長様の著述を引用しており、(株)龍の瞳と発行元より許可を得て掲載しています」
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