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乳酸菌

【連載:乳酸菌の話(1)】食物アレルギーについて

はじめに

アレルギーは増加⁉

今から50年前には日本では「アレルギー」はほとんどありませんでしたが、1980年代から驚くほどアレルギー疾患は急増しています(図1)。

2005年には我が国全人口の約3人に1人との報告でしたが、なんと2011年には急速に増加しており我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患している、と危機感を持って報告されています (厚生労働省資料 「リウマチ・アレルギー対策委員会報告書 」) 。


(図1)出典:NPO日本健康増進支援機構 橋本雅夫氏作成

「食物アレルギー」の現状は?

中でも、アトピー性皮膚炎の有症率は、小児の4ヶ月から6歳では12%前後、成人の20~30歳代で9%前後の頻度で認められることが明らかとなっています。つまり、国民の約1割がアトピー性皮膚炎に罹患していると考えられています(「 アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008」より) 。

日本で急増する食物アレルギーについては、原因抗原の種類もしくは加齢により耐性化するため 有病率も各年齢で異なりますが、児で最も多く発症します。

近年は、全年齢層での重症例の増加、成人での新規発症例が目立っていることが特徴的です。
また、食物アレルギーでは、最近の特徴として以前ではみられなかった食品にアレルギーが認められるようになってきたことも報告されています。

では、食物アレルギー対策はどうしたらいいの?

現状では、食物アレルギーに対する有効な治療法はないため、アレルギー物質を含む食品として表示された法定アレルゲン27品目のうち、自身のアレルギー原因となる食物を食べないことで予防することが重要でしょう。

1)アレルギーとは

「アレルギー」とは、
日本語で「過敏症」と訳されています。
私たちの体は免疫反応※により守られていますが、外敵でなくとも過敏になり攻撃をし過ぎて自らの体へマイナスに働くことを「アレルギー」といいます。

中でも「食物アレルギー 」とは、
食事をしたときに、身体が食物(に含まれるタンパク質)を異物として認識し、自分の体を防御するために過敏な反応を起こすことをいいます(厚生労働省政策レポートより)。

免疫反応とは、
体の中に外敵が侵入した際、抗原が後退と呼ぶたんぱく質を作り出し、外敵を無害化して外部に排除する仕組み。この免疫反応により、私たちは健康に暮らすことができているのです。

しかし、本来、その自分を守るための免疫反応が過剰となり自分を傷つけてしまいアレルギー反応となるのです。
身近なアレルギー症状は、じん麻疹・湿疹・痒み・下痢・咳・ゼーゼーなどです。
アレルギー症状の中には循環器系の重い症状もみられ、最悪の場合には死に至るケースもあるので気をつけなければなりません。

2)アレルゲンとは

「アレルゲン」とは、抗原のことでアレルギー疾患を起こす原因になり得る物質を指します。

アレルゲンは人によって様々で、自分のアレルゲンとなる物質が体内に侵入した際、アレルギー症状が生じます。

そのアレルゲンは、「吸入性アレルゲン」「食品性アレルゲン」「薬物性アレルゲン」の3種類に分類されます。

  • 吸入性アレルゲンは、
    空気中に存在していて、人が吸入することで体内に侵入してくる物質で、ダニ・カビ・動物・花粉、などです。
  • 食品性アレルゲン(食物性アレルゲン)は、
    食物として摂取することで体内に侵入してくる物質で、厚生労働省は法定アレルゲン27品目の表示※を義務付けています。

※厚生労働省による法定アレルゲン27品目とは、

表示義務7品目:
卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生
表示推奨(任意表示)20品目:
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、 牛肉、 くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

  • 薬物性アレルゲンは、
    医薬や化粧品などの化学物質などとして体内に侵入してくる物質で、医薬品・化粧品・シャンプー・リンス・洗剤、などの日用品があります。
    このように、アレルゲンとなりえる物質は身の回りに多く存在しています。

3)免疫の種類

免疫には、2つのシステム「粘膜免疫」「全身免疫(自然免疫・獲得免疫)」とがあります。免疫システムを理解すると、異物や外敵に対する人間の体は素晴らしいことが良くわかります。

まず、「粘膜免疫」は、

防御のシステムです。
私たちは、日々の生活でウイルス、細菌、花粉などの 異物 が絶えず体内に侵入しようとしていますが、「粘膜免疫」はその異物を 侵入させないように私たちの体を守ってくれています。

具体的には、目、鼻、口、腸管、膣、尿路など、病原体の体内への最初の侵入口の粘膜で外敵を排除する防御の役割です。
中でも「腸」は、最も重要な免疫器官です。

次に、「全身免疫」は、

攻撃のシステムです。
病原体が「粘膜免疫」を突破して体内に侵入し、増殖してしまった状態が「感染」です。体に侵入したウイルスや細菌に対しては、防御の次の仕組みとして「全身免疫」が働き、免疫細胞が病原体を捕えて排除しようとします。 「全身免疫」の主役を担うのは白血球であり、基本的に「自然免疫」と「獲得免疫」の2つの仕組みから成り立っています。

自然免疫」は、

生まれた時から備わっており、常に体内をパトロールして侵入者に対していち早く攻撃態勢を整える初期段階の防衛線の役割を担っています。「自然免疫」のメンバーは「単球」「顆粒球」「NK細胞」。
これらの免疫細胞のお蔭で、私たちは病気になりにくい体を保ってくれています。

単球――パトロールチーム

  • 樹状細胞……異物の情報をリンパ球に伝える攻撃の総司令官。免疫機能が有効に働くには、樹状細胞がどれだけ明確に敵を認識するかにかかっている重要な役割。
  • マクロファージ……死んだ細胞や異物を食べて、その情報を顆粒球やリンパ球に伝える免疫細胞の司令塔の役割。

顆粒球――攻撃チーム

    • 「好中球」「好酸球」「好塩基球」から成り、比較的大きな病原菌を飲み込んで殺滅する。

NK細胞――攻撃チーム

      • リンパ球のひとつで攻撃性はさほど強くないが単独行動できるのが利点。敵に素早く反応する。

獲得免疫は、

抗原との戦いを経て得ていきます。
高度な生命体のみに備わったシステムで、細菌やウイルスに感染した経験が免疫機能の記憶に残り、二回目以降の感染を防ぐ機能をもつ免疫細胞です。水疱瘡やはしか、おたふく風邪など特定の病気に対して抗体を持つのもこのシステムのお蔭です。「獲得免疫」のメンバーは「B細胞」「T細胞」 。

 

B細胞


        • ヘルパーT細胞から情報を受けて主に細菌やウイルスなど、小型の外敵に対抗する抗体を産生して戦う。

T細胞

      • 免疫の主力部隊。
      • 攻撃命令を出す司令塔である「ヘルパーT細胞」、ヘルパーT細胞の命令で強力な殺傷能力を有する「キラーT細胞」、過剰な免疫反応を抑制させる「サプレッサーT細胞」がある。
      • T細胞は各々連携をとりながら、多彩な攻撃を展開する。

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